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パリオリンピック直前!トランポリン競技のルールと見どころを徹底解説!

いよいよパリオリンピックが始まりますね!!
トランポリン競技は8月2日(金)に開催予定です!

…突然ですが、トランポリン競技を見たことがあるあなたは、こんな疑問を感じたことはありませんか?

あなた

トランポリンってくるくる回ってるのはわかるけど、
それ以外はわかりにくいんだよな…

これは実際に私の周りの人から言われた言葉です。私ももう16年、競技をやっている身ですが、本当にそう思います(笑)

トランポリンという競技のことをもっと世間の人に知ってもらいたい、興味を持ってくださった方々にもっと楽しんでもらいたいという思いで、今回の記事を書きました。

この記事を最後まで読むことで、トランポリンの大会を見た時に、

未来のあなた

あーこの点が良かったねー/良くなかったねー

など、少し踏み込んだ視点でトランポリンを見ることができ、何も知らないよりも10倍は楽しむことができるので、ちょっと長いですが是非最後までご覧ください!

今、時間が無いからざっくり知りたいという方はこちらの記事へ!↓↓↓

1.オリンピック大会について

世界でたった16人の狭き門

よく、「トランポリンってオリンピック競技なの?」「日本からは何人くらい出場できるの?」と質問をいただきます。

トランポリンは2000年のシドニーオリンピックからオリンピック種目になっています!
体操と比較すると新しく入ってきた競技、という感じですね!

ゆうき

国際ルールで、「オリンピックに出場できるのは世界で16人
各国最大で2人まで
と定められています!

上記のルールにより、日本国内ではうまくいっても2人までしか出られません!!!オリンピックレースで出場枠の獲得をできなければ出場者0、ということもあり得るのです。

世界中でたった16人しか出られない出場枠獲得のために各国が競い合うのがオリンピック前年のワールドカップや世界選手権です!

強豪国はどこ?

2000年のシドニーオリンピックから、東京オリンピックまで、男女のオリンピックメダル獲得数をまとめてみました!

中国…男子7個/女子7個

カナダ…男子2個/女子5個

ロシア…男子3個/女子1個

ベラルーシ…男子2個

一番はやはり中国ですね。女子は2004年のアテネ大会から5大会連続、男子は2008年の北京大会から4大会連続メダル獲得、1大会で表彰台に2人乗ることも珍しくなく、間違いなく強豪国です!

カナダは女子が2000年シドニー大会から2016年リオ大会まで、5大会連続メダルを獲得しています。また、男女通じて唯一2大会連続で同一選手が金メダルを獲得しています。
その選手は引退してしまい、今大会は別の選手が出場していますので期待ですね!

ロシアもよく強豪国として挙げられます。オリンピックのメダルは思ってたより少ないなと感じましたが、いつの時代も強い選手がいる、というイメージがあります。
今大会はAIN(中立な立場の個人資格の選手)としての出場になるかと!

IOC=国際オリンピック委員会は、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアとその同盟国・ベラルーシの国籍を持つ選手のパリオリンピックへの参加について、『AIN』と呼ばれる国を代表しない「中立な立場の個人資格の選手」として参加を認めることにしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240712/k10014509961000.html

ベラルーシは男子が2020年の東京大会、2016年のリオ大会と2大会連続で金メダルを獲得しています!こちらも今大会はロシアと同様、AINとしての出場になりそうです。

日本はまだオリンピックのメダルこそないものの、男子は2008年の北京大会から3大会連続4位、女子は2020年の東京大会5位と限りなくメダル獲得に近い国です!

パリオリンピックの出場選手名簿はこちらをチェック!

パリ五輪出場選手名簿

予選

現行のルールでは、予選は2回の自由演技(※)を行い、高い方の得点が採用される仕組みです!

※東京オリンピックまでは予選は第1演技、第2演技と選手は2種類の構成を用意して、どちらも失敗できないルールでしたが、東京オリンピック後に変更されたルールです!

なので、1回目の演技で失敗をしてしまっても、巻き返しが十分可能なルールになりました!

決勝

予選の得点の上位8名が決勝に進出し、自由演技1回のみですべての結果が決まります
これは以前からのルールと同様ですね。

世界選手権やワールドカップ、国内でも全日本選手権は決勝の前に「準決勝(予選2)」がありますが、オリンピックは予選の時点で16人まで絞られているので準決勝はありません。

ゆうき

トランポリンの演技は始まってしまえば20秒程度で終わってしまいます。
短い時間で終わってしまう、、そんな儚いところもある意味競技の魅力かなと思います。

2.採点ルール(その1)

トランポリン競技は体操やフィギュアスケートと同じ「採点競技」です。ここではルールを少し詳しくおさらい!!

特徴と基準になる4要素

数名の審判員の前で、10種目の異なる技を連続で実施し、より高い得点を出した人の勝ちという、至ってシンプルなルールです。
ただ、トランポリンの特徴は、失敗したらやり直しNG本番一発勝負の世界です。

例えば10種目目で青いマットに触れてしまい、9種目分しか点数にならなかったら
その時点で他の選手とまともに戦える点数にはなりません。

ゆうき

ここ一番の場面で狙っていきたいけど、攻めすぎて失敗したらスタートラインにすら立てない、超メンタル競技なんです!

そんなトランポリン競技の採点基準で必要になる要素は下の4つです!

  1. 演技点/Eスコア(綺麗にやる)
  2. 難度点/Dスコア(回転数・難しい技の構成をする)
  3. 跳躍時間点/Tスコア(滞空時間)
  4. 移動点/HDスコア(中心で演技する)

簡潔に言うと、難しい構成を、高く・美しく・真ん中でやったらいい点数が出ます。←ただこれが半端なく難しい。(笑)

合計得点は、演技点+難度点+跳躍時間点+移動点-ペナルティの減点で出されます。
世界のトップ選手だと、男子は59点~62点女子は54点~57点くらい出します!

選手によって特徴がある

上で説明した4つの要素について、もちろんすべてを網羅している選手が最強なのは間違いないのですが、

A選手

私は綺麗で正確な演技が武器だよ

B選手

私は高さをいかした高難度の演技ができるよ

といったように、それぞれの選手によって点数を稼ぐポイントも違ったりします。

ちょっとわかってきたあなた

あの選手はそんなに回ってないけどきれいな演技だね!
こっちの選手は高くてよく回るね!

そんな視点で観てもらえると楽しんでもらえるかなと思います(^^)

3.採点ルール(その2)

採点基準その1ではトランポリンで必要になる4つの要素の説明をしました!
その2では、減点要素のある点数と加点要素のある点数、それぞれの詳細を説明します。

減点になる要素

その1で説明した4つの要素の中で減点になってしまうのは下の2つです。

  • 演技点(Eスコア)
  • 移動点(Hスコア)

・演技点での減点


演技点(Eスコア)減点方式です。
選手それぞれ、審判一人につき10.0点の持ち点があり、一種目ごとに0(減点無し)~最大0.5減点されてしまいます。


例えば・・・

  • 演技中に膝や腰が曲がっている、つま先が伸びていない・・・など姿勢が乱れてしまう
  • スムーズな動きではないぎこちない動きになってしまう
  • 宙返りの終わる位置がギリギリ、空中で最後まで技をやっている

こういった動きをしてしまうとすぐに減点されてしまいます!

いかに基本に忠実、かつスムーズに技を実施できるか、人がジャッジしているので、審判に「上手い!」と思わせることができるかも鍵です!

厳密に言うともう少し細かいルールがあって点数の採用方法とかも決まってるんですが長くなりすぎるのでここでは省略します!w

ゆうき

この人は少し足がバラバラしてるね!なんとなくリズムが一定じゃないね!
といった視点で見ていただけるといいかもです~

・移動点での減点


移動点(Hスコア)も、演技点と同じく、減点方式です。
最初の持ち点は10.0点で、一種目ごと、移動をしてしまう度に0(減点無し)~最大0.3の減点があります。

このルールは2016年のリオデジャネイロ五輪が終わってから加わりました。

中心で演技をしないと減点をされていってしまいます。
減点無しの部分は縦横約1mずつの範囲(真ん中の四角)のみ!

だいたい女子のトップ選手は6~7m男子のトップ選手だと7~8mくらい上に跳んでいるので的がいかに小さいかわかると思います。

上の図、白い部分がトランポリンのベッドの図で、選手はなるべくここの0.0、減点無しの部分を狙って演技をします。

演技中に前後左右へ移動してしまった場合、1種目ごとに着台をした場所によって、上の図のように0.1~0.3の減点をされてしまいます。

ちなみに0.3減点の場所まで跳んで行ってしまったとき、選手の心境としてはかなり焦ります。だいたいの選手が「あっ終わった」ってなる場所です。(笑)

ゆうき

中心で演技をすることも大事になるので、選手は難しい宙返りをしながらも、真ん中から動かないように1回1回宙返りが終わるごとに場所の確認をしているんですね~すごい!!

加点になる要素

その1で説明した4つの要素の中で加点の要素があるのは下の2つです。

  • 難度点(Dスコア)
  • 跳躍時間点(Tスコア)

・難度点


難度点(Dスコア)は、難しいことをすればするほど加点されます。
回転の数、またはひねりの数が増えると難度点も増えていきます!

体操のG難度は点数が高い!フィギュアスケートの4回転は点数が高い!といったイメージと一緒で、トランポリンも回転・ひねり数を複雑な構成にすればするほど難度点は高くなります。

だいたいの難度点の考え方は以下の通りです。

  • ひねり(横回り)を1/2加えるごとに0.1点加点
  • 回転(縦回り)を1/4加えるごとに0.1点加点
  • 姿勢によって加点もある(タック(抱え込み)姿勢よりも、パイク(屈伸)姿勢、レイアウト(伸び)姿勢の方が点数が高くなる)
  • 3回転すると0.1の加点が加わる
ゆうき

ん~上の文字だけだといまいちわかりにくいですね(笑)
とりあえず縦にも横にもぐるんぐるん回ると難度点もどんどん増えていきます。w

1種目ずつ、上記のような点数が基準で加算されていき、演技全体の構成の難度点は10種目分で、
男子だと16点後半~17点前半(高い選手だと18点オーバー)、女子だと13点後半~14点中盤(高い選手で15点オーバー)くらいの点数になります。※トップクラスの点数です

パリオリンピックの後はこの難度点に改変が加わるようです!難度戦国時代の突入だ~

・跳躍時間点

トランポリンの魅力はなんといっても他の競技では見られない高さ


跳躍時間点(Tスコア)は、空中にいる秒数=そのまま点数になります。

この「高さ」ですが、なんと滞空時間(足先がトランポリンの台から離れてからもういちど着くまで)の秒数がそのまま点数になるんですね~。

つまり、全く同じ演技をする選手が2人いたとして、A選手が15秒で行える構成をB選手が16秒でできたら、その時点で既に2人の選手の得点差は1.0点
0.1点を狙って取りに行くこの競技で1点の差はとても大きい!

世界のトップクラスの選手でだいたい男子は17秒~高い人で19秒前後、女子は15秒後半~高い人で17秒近くとびます。

4.競技の種類

トランポリン競技は、下記の種類があります!

トランポリン競技
  • 個人
  • シンクロ
  • 団体
一緒に大会開催のある競技
  • ダブルミニトランポリン
  • タンブリング

世界選手権では上記すべて行われますが、オリンピックは今のところ個人競技のみです。

それぞれの競技についての概要はこちらをチェック!

5.まとめ

ここまで読んでいただいた皆様、いかがでしたでしょうか?
選手は、ただくるくる回っているだけでなく色々なことを考えながら跳んでいます。

この記事を見てくれたみなさんに、トランポリンを楽しんで観戦してもらえることを願っています・・・!!

それではまた次回の記事でお会いしましょう!

ゆうき

みなさんにオリンピック観戦を楽しんでもらえますようにー!

ABOUT ME
2020年4月入社 トランポリン競技をやっています! 仕事も競技も全力で!日々のあれこれについて発信していけたらと思います。