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【空手道】朝鮮代表としてアジア競技大会に出場した「覚悟」と「想い」

2023年10月、中国・杭州にて行われた第19回アジア競技大会(空手競技)に朝鮮代表として参加してきました。

今回の記事では自分が感じた想いを文章にできたらなと思います。
最後まで読んでいただけたら幸いです。

大会に挑む覚悟

4年に1度、アジアのオリンピックとも言われるアジア競技大会は、日本でも注目度は高かったと思います。空手を始めて10年、年齢も今年で28歳になる年ということもあり、今回の大会が競技人生の分岐点になると考えていました。

というのも、勝てない試合が続いていて、周りからも厳しい意見がたくさんありました。
自分としても、応援してくれる人達に結果で恩返ししたかったし、今回で勝てないと朝鮮代表として活躍していくのは難しいと考えていたので、代表引退も覚悟して挑みました。

”勝てば官軍”という言葉があるように、結果を残し続けることがやはりどの世界でも大事ですし、現実問題、結果がついてこなければ周りの期待値も下がることがほとんどでしょう。

試合までの一か月間、上司に相談し、スポーツに専念できる環境をつくっていただきまして、心も体もしっかり仕上がった状態で試合に挑むことができました。

戦闘モードゆな

プレッシャーやばかったっす!

大会規模の大きさを実感

現地入りしてからは、各国の代表選手たちが集まっている選手村で生活しました。

ジムや練習場、練習時間、バスの送迎まで、大会スタッフにすべて管理されており、食もバイキング形式で、各国の食事がとれるようになっておりました。

選手たちが試合に集中できるような環境づくりが徹底されており、今大会の規模の大きさを実感しました。

試合当日

皆、国の威信をかけて大会に挑んでおり、その緊張感が自分にも伝わってきました。
ですが、その緊張感に負けることなく、自分がやってきた事を信じて闘争心で燃えながらも冷静に試合に挑むことが出来ました。

相手はマレーシアの選手で前回のアジア競技大会では3位になっている実力のある選手です。コートに立つ前、監督に必ず勝てると背中を押してもらい、いざ試合が始まりました。

序盤は蹴りで先制を食らうも3対2のスコアまで追いつき、ポイントの取り合いの展開になっていました。
しかし、最終局面で相手の攻撃がポイントになり、再び離され、試合時間は残り30秒ほど。
攻め続けるも、最終スコア2対6で敗れてしまいました。

試合を終えて

試合が終わった直後、しばらくは話せませんでした。記者達の質問にも上手く答えられていなかったと思います。
ですが、これが現実だと自分の中で受け止めました。

自分は在日朝鮮人として日本で生まれ、民族教育を受けて育ってきました。
今大会で良い成績を残すことで在日朝鮮人の同胞たちに元気を与えたかったし、応援してくれる会社の人達や空手をサポートしてくれた色んな日本の方々に良い報告がしたかったです。それができなかったことが悔しくて仕方ありません。

「結果が出ればうれしいが、勝ちたいと思って本気になれた自分の気持ちの変化が一番。その熱量を持って、これから仕事や人に接することができれば、今後の人生の糧になると思うよ。」
この言葉は空手の練習を見てくださった先生の言葉です。凄く救われたし、暖かいメッセージでした。

帰ってきてからも色んな方々からお言葉をいただきました。自分は周りの方達に助けられてここまでやってこれたのだと改めて感謝の気持ちで一杯になりました。スポーツ、そしてアジア競技会が自分を人間的に成長させてくれたと思います。

結果は負けてしまいましたが、この貴重な経験を色んな人生の局面の糧にしていこうと思います。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

ABOUT ME
2021年4月入社 朝鮮のナショナルチームに所属しながら空手してます! 競技の事や仕事と競技の両立において有意義な情報を発信していこうと思います!